<< March 2024 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

2017.08.27 Sunday

久々に中島美嘉を聴いているのだが

中島美嘉
ソニーミュージックエンタテインメント
¥ 2,198
(2005-12-07)

最近レッスンの参考曲に色々リサーチしてる中で
中島美嘉を久々に聴いてみたんだけど結構面白いなと。
というのも特に初期の方の曲って
結構ジャズ色が強くて楽曲の完成度も高いんですよね。

例えばめちゃくちゃ売れた雪の華という曲は
BメロのII-Vを中心としたコード進行の上に
メロディにオルタードが多用されているところとか特にジャズ的なんだけど
でも純ジャズではなくてJ-POPの中に
さりげなくジャズ的な要素を入れているバランス感覚が絶妙で
特にこの曲はJ-POPのバラードの教科書にしてもいいくらいアレンジもよくできている。

https://www.youtube.com/watch?v=mF5Qq2YheTg

あとMONDO GROSSOの大沢伸一さんプロデュースした
Love Addictはさらにジャズ色が強くて
イントロのストリングスのアレンジなんて
まるでクラウスオガーマンみたい。
チャートに入る音楽でこういうハーモニーが最近聴こえないのが寂しい。

https://www.youtube.com/watch?v=-tybWPCMfZI

そして何より本人の声が素晴らしい。
正直技術的に歌が上手い人ではないと思うんだけど
声質がとにかく唯一無二。

よく考えてみれば中島美嘉のフォロワーというか
二番煎じのような人ってあまりいないと思っていて(仮にいたら教えてください)、
楽曲的に方向性が近い人はちらほら浮かぶけど
彼女のちょっと陰のあるルックスと雰囲気、
さらに天性のあの声を同時に持っている女性ヴォーカリストは他にいないと思う。
というか真似したくても真似できないのが正解なのだろうな。

というわけで久々に聴き返してるわけですが
ここ最近の活動に関してノーマークだったのでリサーチしてみたら
Salyuと一緒に楽曲リリースしてたんですね。

https://www.youtube.com/watch?v=BZG1LE5jiXk
しかも作詞が安藤裕子・小林武史で
作曲・編曲が小林武史って俺のために企画された組み合わせとしか思えない。
コバタケサウンドに中島美嘉の声が重なるのが新鮮。
ただmp3での配信オンリーなのがもったいない。
是非ハイレゾorCDでのリリースを希望します。

20:57 | Review | - | -
2016.12.14 Wednesday

2016年に聴いた音源の中で特に印象的だった作品について色々書いてみた(久々の長文)

早いものでもう2016年も終わりそうですね。
というわけでそろそろ総まとめの時期ということで
今年聴いた音源の中で特に印象的だった音源について書いておくことにします。
もちろんここに書いた音源以外にも面白い音源はあったし、
自分の好きなアーティストが多く新作を出した年でもありましたが、
同時に多くの音楽家が亡くなった年でもありました。
ただそれらについて本気で書くと一年くらいかかりそうなので(笑)
個人的に特に印象的だった音源のみに絞ることにします。

が、それでも結構長いと思いますのでお時間がある時にでもどうぞ。

まずはAntonio Loureiroの「So」。

これは今年リリースされた音源ではないのですが
今年入手した音源の中でダントツに衝撃でした。
以前ブログでも紹介したKristoff Silvaと同じくミナス派と呼ばれるアーティストの一人です。
各所で話題になっていた人なんで当然気にはなっていて
ずっと聴こう聴こうとしていたんだけどついつい後回しにしてしまっていた。
ただAmazonでバカみたいなプレミアついていた
1stアルバムが運良く安く手に入ったので聴いてみたら衝撃で。

「天才」

陳腐な言葉だけど久々にその言葉がふさわしいアーティストだと思いました。

で、速攻「So」も注文したんだけどこちらはさらに才能が爆発していた。
一曲目のイントロからぶっ飛びすぎ。
どうやったらこんなの浮かぶんだろうと思うくらい(笑)。

ブラジル音楽やジャズをベースとしつつもあくまでサウンドは現代的。
でも同時にフランスのクラシックの作曲家のようなトラディショナルな和声も感じるから面白い。

前作が様々なヴォーカリストをフィーチャリングに迎えてたのに対して
(Kristoff Silvaも参加している)
今回は本人のヴォーカルと歌よりも演奏の割合が多め。
彼は作詞作曲だけでなく歌も楽器も一通りこなすマルチプレイヤーでもある。
で、この演奏が本人もゲストのミュージシャンも超上手い。
完全に現代におけるニュータイプです。

ブラジル音楽のアントニオと言えば当然第一に浮かぶのは
アントニオ・カルロス・ジョビンなわけですが
彼もそこと同列となるくらいの才能と器を感じます。

あと音も良いね。
俺が入手したのは普通のCDなんだけどとにかく録音の質がいい。
ここ最近の音源は普通のCDのスペックでも
これどうやって音作りしてるんだろうと思うくらい音質が良いものが少なくないのでビックリする。

リリースはずっと前だったのにずっとその存在を放置してたのが本当に悔やまれます。
新しい音楽を欲してる方には全力でおすすめ。

次は安藤裕子の「頂き物」。

安藤裕子はJ-POPの女性ヴォーカリストの中で
ダントツにトップにくるくらい好きで
レッスンでも何曲か参考曲やアナライズの対象にしています。
とにかくコード進行やハーモニーが面白い。
多分アレンジャーの方の手腕によるところが大きいと思うのだけど
実はジャズ理論バリバリのコード進行で
音楽理論勉強している人にとっては超聴きごたえのあるアーティストなんだよね。

色んなところで言っていることだけど
自分自身J-POPは元々この世で一番嫌いなジャンルだった。
でもその見方を変えたアーティストが何人かいてよく名前を出すのがsalyu。
そして安藤裕子も間違いなくその中に入る。

で、その二人が去年対バンしたんだけどあれは神イベントだった(笑)。
しかもアンコールでマイラバの「Hello, Again 〜昔からある場所〜」をデュエットするという。
もうこんなレアな機会は二度とないんだろうなと思ってたけど
以降ちょくちょく共演しているようなのでまた対バンしてほしい。

と、個人的な願望はこのくらいにして。
今作の「頂き物」は外部のアーティストによる楽曲提供された曲中心による作品。
楽曲アーティストは
スキマスイッチ、TK from 凛として時雨、堀込泰行(キリンジ)、
Chara、sébuhiroko、DJみそしるとMCごはん、
大塚愛、小谷美紗子、峯田和伸(銀杏BOYZ)と錚々たる面々。

で、今回も曲もアレンジも演奏も良かったし、
様々なアーティストの楽曲を歌いこなした安藤裕子のヴォーカルも素晴らしい。
でも個人的に一番感動したのはとにかく音が良い。

実は今回はCDではなくハイレゾの方で購入したんだけど超音が良い。
24bit、96kHzというスペックもあるのだろうけれど
日本のJ-POPの音源もついにここまでのレベルまできたのかと感動した。

特にリズム隊のグルーブ感や鮮度が素晴らしい。
うちの環境で聴くと(ムジーク+antelope)本当にヤバイですよ。

これは是非可能であればハイレゾで聴いてもらいたいですね。
普段mp3やYoutubeで聴いている人はマジでビビると思います。

ちなみに今回の楽曲提供のアーティストの中ではsébuhirokoの楽曲がダントツに良かった。
気になって本人のソロの作品も聴いてみたら超良くて。

エコール・ノルマル出身の作曲家という肩書きにもビックリだけどとにかく作曲のセンスがいい。
今の女性アーティストの中でもダントツに才能のある人だと思う。
最近新作も出たようなのこちらも近日チェックしてみようと思います。

次は冨田ラボの「SUPERFINE」。

これは最近買った音源ですね。
言わずと知れた日本を代表するプロデューサーの冨田恵一氏のソロプロジェクトです。

クラウスオガーマンのような(今年亡くなったらしいのが本当に残念)
ジャズハーモニーをベースとしたオーケストレーションは
多分彼がJ-POPにおいて始めたパイオニアだと思うのだけど
演奏家としても一通りの楽器を一流のレベルで演奏するマルチプレイヤーで
さらにドラムの打ち込みもとても打ち込みとは思えないくらいの高いスキルの持ち主。
まさに日本の音楽界におけるパーフェクトヒューマンですね。

一時期彼のようなパーフェクトヒューマンを目指した時期がありましたがもう諦めました(笑)。

なのでこれまでの冨田ラボ名義の作品はほぼ聴いています。
聴いてはいますが正直自分の音楽の趣味として好きだから聴いているというよりは
半分アレンジの勉強として聴いていたというのが正直なところです。

ただ今回の「SUPERFINE」は純粋に作品としても好き。
多分これまでの作品で一番かもしれない。

これまでの冨田ラボはシミュレーショニズムといって
70年代、80年代の洋楽の(特にスティーリー・ ダン近辺)
サウンドを使用楽器からプレイスタイルまで踏まえて
取り入れることをを基本コンセプトとしていたようにも思うんだけど
色んなインタビューで語っているようにそれがひと段落したようで
ここ最近の現代ジャズやブラックミュージックに影響を受けたサウンドになっているのが特徴的。

例えばヒップホップや打ち込みを通過した後のジャズドラムであったり、
これまでは避けていたであろうここ最近のトラックメイカーっぽい打ち込みのサウンドであったり、
3連符、5連符といった奇数単位のリズムや
最近のジュークのような細かいビートも取り入れられてかなり複雑化しているのと、
ここ最近のブラックミュージックのサウンドの質感であったり、
これまでと違って現在進行形の音楽の要素がかなり反映されていて。

さらに今回はフィーチャリングされている
ヴォーカリストが20代〜30代前半の若手が中心なのもあって
新しい音楽、というのが第一印象。
でも絶対に若造には成し遂げられない
圧倒的な完成度なのはさすがとしか言いようがない。

もう冨田さんは年齢的に50半ばに差し掛かっていたように思うんだけど
まだまだこんなに進化できるんだと思うと
これから先、音楽をやって行くのにちょっと勇気付けられました(笑)。

ちなみに「SUPERFINE」の初回盤ではCDの他にドキュメンタリーのDVDや
レコーディングについての冊子もついているのがポイント。

やはり冨田さんといえばミュージシャンズミュージシャンということで
どのように制作されたのか、気になる人自分も含めて多いと思う。
そんな人にはまさにうってつけです。

本人による楽曲の解説の他(割と機材の話もあり)、
なんと譜面もいくつかあるので音楽やってる人は絶対に手に入れたほうがいいです。

というのも以前ベストをリリースした時に同じような企画があったんだけど
うっかりそれの初回盤買いそびれてしまったんですね。
でもこれのドキュメンタリーが超面白そうで。
一部Youtubeで公開されてるけどここまで観たらもう全部観たくなる。

が、その音源が今ではプレミアついていて買うに買えないのが悲しい。
なので誰かクリスマスプレゼントに買ってください(笑)。

ただ今回こそは同じ二の轍を踏む訳にはいかないので速攻買いました。
なので通常盤よりは若干割高ですが音楽の教材と思えば激安です。

ちなみに今回フィーチャリングされているヴォーカリストの中では
CICADAのヴォーカルの人が特に良かったです。
声が好み。

ちなみにCICADAも気になってリサーチしてみたらよかったです。
Acoとか好きな人には間違いなくツボ。

という話をレッスンである生徒さんと話したら
昔対バンしたことしたことありますよって。世間は狭いね〜

そして最後はDavid Bowieの「Blackstar」。

2016年はご存知の通り多くの音楽家が亡くなりました。
それについて語るともう語りきれないので割愛しますが
その中でもBowieの死というのは衝撃的な事件でした。

なので遺作でもある「Blackstar」もちょっと聴くまで覚悟がいったので
実際に聴いたのはリリースされてから数ヶ月後。

が、意を決して聴いてみたらもうヤバくて。
実は「Blackstar」を聴くまで2016年聴いた中では
多分冒頭に書いたAntonio Loureiroの「So」だろうなと思っていました。
でも「Blackstar」を聴いた時に同じくらい、
下手したらもっと上かもしれないと思いました。

今作は現代ジャズの要素を大々的に取り入れていて
(冨田ラボといい同じキーワードが出てくるのが面白い)
個人的にもビックリしたんだけどMaria Schneiderもアレンジで参加している。
Maria Schneiderに関しては以前ブログにも書いたけど
女性の作曲家の中で一番ってくらい好きで
レッスンでもアドバンスな段階になると彼女の楽曲を取り上げています。
日本ではあまり知られていないけれど現代のジャズにおける重要人物だと思います。
ジャズというのはもう終わった音楽では決してなくて現在進行形の音楽なんだよね。
Bowieはご存知のようにその時「なう」なサウンドであったり、
ミュージシャンを起用することで有名だけれど
彼のアンテナに引っかかったのも納得というかさすがというか。

で、そのMaria Schneiderがアレンジで参加している
「Sue (Or in a Season of Crime)」は超やばい。

Maria Schneider名義の作品でも
「Coming About」あたりではアグレッシブな楽曲やっているけれど
彼女のアレンジでこのビート感やロックっぽさは新鮮で驚いた。
しかもそこにBowieのヴォーカルが絡むという。
もうカッコよくないわけがない。

しかもこの曲だけではなくて全曲素晴らしい。
曲数が少ないのもあるけどアルバムを一度聴き始めると一曲も飛ばさずに聴いてしまう魔力がある。
捨て曲が一曲もない。

今回はこちらもハイレゾで聴いてみたんだけど音も演奏も本当に素晴らしい。
さっきは普通のCDのスペックでも音が良いものがあるみたいな話したけど
「Blackstar」に関しては絶対ハイレゾで聴いた方がいいと思う。

多分異論はあるかもしれないけれど
彼のキャリアの中でも最高傑作といっても良いくらい完成度が高いのではないかな。
もう新作が聴けないのは残念だけど
こんな傑作を最後の最後に残した彼は本物のアーティストだと思う。

という感じでしょうか。
ここまで書いてみたけど案の定長くなりました(笑)。

2016年は音楽の世界では悲しいニュースも多かったけれど
いい音源との出会いも多くあったのは個人的には救いです。

また来年もいい音源と出会えるの期待してます。

PS
Youtubeのチャンネル登録が2000人を超えた感謝と記念という事で
期間限定でキャンペーンを行っています。
レッスンに興味のある方はこの機会に入門をご検討ください。
詳細はこちら。
http://kohtaro.com/wp/lesson/campaign/

17:56 | Review | - | -
2015.07.21 Tuesday

aiko/まとめ

aiko
ポニーキャニオン
¥ 2,000
(2011-02-23)

今のウケてるJ-POPのコード進行って
だいたいがF-G-Amに代表されるシゴロ系か
C、G/B、Am、Em/G、F、C/E、Dm7、G7などのカノン進行の
どちらかの確率が非常に高かったりするんだけど
(前に菊地成孔さんがJ-POPはシゴロの情緒と言っていて爆笑してしまった)
その一方で結構理論的に面白い事をやってるアーティストやクリエイターも多くいる。

例えば小林武史関連は聴きやすい中にも意外にジャズ理論の影響感じるし、
安藤裕子はもっとジャズ寄りでテクニカル。
冨田ラボはさらにテクニカル(笑)。
クラウスオガーマン的なハーモニー取り入れている人、
多分J-POPではこの人くらいしかいないのではないだろうか。
(他にいたら是非教えてください)

あと意外なところではアイドル系も(ジャニーズ、AKBなど)
特に転調の扱いが面白かったりする。

もちろんコード進行が音楽の全てを決定するわけではありませんが
楽曲の中での重要なファクターである事は確かなわけで
個人的によく研究や分析をしています。
レッスンでのケーススタディも増えますしね。

で、実はaikoの曲も理論的に面白い事をやってるという噂をどこかで耳にして。
これまでほとんどマトモに曲を聴いた事がないので
(多分テレビや有線などでサビを聴いたくらい)
先日「まとめ機廚箸いΕ戰好箸鬟譽鵐織襪靴討たんだけど
ちょっとびっくりした。

確かに理論的にもアレンジも面白いんだけど
それ以上にヴォーカルにびっくりした。

歌詞やサウンド、本人のヴィジュアルやキャラクターに反して
ヴォーカルが凄く冷たい、醒めてる。
例えるのなら真顔で喘いでいるAV女優のような冷たさを感じる(笑)。
特にこの曲とかそんな印象がする。

https://youtu.be/GBUJFlgeHy0

これを聴いて世の中の女子は
「泣ける」とか「共感できる」と聴いたり、
カラオケで歌っているのは驚愕としかいいようがない。
そこらの自称ダーク系なアーティストよりも全然闇を感じるのは俺だけかな(笑)。
でもそれがダメなんじゃなくて逆に新鮮で面白いので最近よく聴いてます。
こういう人、他に思い浮かばないしなぁ。

ただそれ抜きにしても噂の言うとおり
コード進行もオケのアレンジも面白いので
特にバンド系のアレンジ勉強したい人には参考になると思います。
バンドスコアも出てるようなので今後の研究資料に追加してみようと思います。

21:27 | Review | - | -
2015.04.15 Wednesday

声優魂

最近ネット界隈でも話題になった
声優・大塚明夫さんの「声優魂」を読みました。

大塚さんはおそらく日本人をやってればどこかでその声を聞いた事があるはず、
と言ってもおおげさではないくらい名実ともに日本を代表するベテラン声優さんです。
声優に詳しくない俺でも声を聞けば「あ、大塚さんだ」と気づくくらい。

そんな大塚さん著の「声優魂」。
帯がなんと「声優だけはやめておけ」という強烈なキャッチコピー(笑)。
本の中身も終始、声優志望の若者たちの心を折るくらい
声優の厳しい現実が淡々と綴られています。
多分為末大さんの「諦める力」以上にドライです。

ちなみにこちらで第一話が無料で読めるので
興味のある方は是非読んでもらいたいのですが
声優志望だけでなく一般のアニメファンの幻想や願望も
見事に打ち砕く劇薬的な文章なので要注意です。
http://ji-sedai.jp/book/publication/seiyudamashii.html

ただ大塚さんがあえてこのような本を出したのは個人的にわかるような気がしていて。

俺が10代の頃は声優が好きなんていうのは
クラスの隅っこにいるようなマニアックな子達くらいだったのに
今では憧れの職業ランキングに入っているくらい市民権を得ているし、
アニソンも90年代はどちらかというと蔑称に近いニュアンスだったのに
今では高校生が学園祭でコピーしたり、
俺の生徒さんでも将来はアニソンの曲書きたいという人がいるくらいだから
本当時代は変わったな〜と思う。
(オジサンみたいな発言ですみません)

でもそのブームの一方で勘違いさんや夢見るドリーマーを量産してしまった
功罪の「罪」というのも確実にあるわけで。
さらに嫌な話をするとそんな人たちを養分にしている
大人が少なくないのは音楽業界や芸能界と一緒だと思う。

多分大塚さんはそんな現状を憂いてこのような内容の本を書いたのではないだろうか。
安易に「君には無限の可能性がある」とか
「どりーむずかむとぅるー」的な甘い言葉を使わずに
本当のことを語ってくれる大塚さんの誠意というか優しさを感じました。

声優だけではなく「好き」を仕事にしたい人全員に読んでほしい本です。

PS
Youtubeのチャンネル登録が1000人を超えた感謝と記念という事で
期間限定でキャンペーンを行っていましたが、
動画が遅れたおわびとして2015/4/30まで延長することになりました。

キャンペーン終了後の2015/5/1よりレッスン料金が値上がりします。
今の料金体系で受講出来るのは今度こそこれが最後なので
レッスンに興味のある方はこの機会に入門をご検討ください。
詳細はこちら。
http://kohtaro.com/wp/lesson/campaign/

20:32 | Review | - | -
2015.03.12 Thursday

これからはじめるDTMerのためのやさしい基礎知識

基本的に音楽理論をコアとした作曲や編曲をレッスンのメインとしているのですが
DTMやDAW関係もサイドメニュー的にやっています。

大昔ならレコーディングスタジオに
出入り出来るような立場にいるような人種でなければ不可能だった音楽制作が
今はテクノロジーが発達したおかげでお金さえあれば
誰でもコンピューター上で可能な時代になりました。
しかも操作も年々簡単になってきてるし、
俺が始めた頃なんかよりも相当恵まれている状況です。
中学生がニコ動とかに作品をアップしてボカロPになるのもある意味当然の流れというか。

昔はある種専門職の領域だったDTMやDAWのスキルを
テクノロジーがショートカットしてくれる時代だからこそ
音楽理論をコアとしたレッスンにしようと思いました。

多分ソフトの細かい使い方なんてみんなわかってるだろうし、
これまで未経験だった人も曲作りながらなんとなく使い方わかるくらい今のソフトは本当に簡単。
スマホの使い方なんてマニュアル見なくてもわかるのと同じように
作曲やってる人はDTMやDAWなんてみんなわかってるもんだと思ってました。

ところが実際にレッスンをやってみて思ったのは
自分が思っている以上にDTMやDAWがわからない人が多いということ。
しかも音楽的にどうこうとかそんな話以前に
マニュアル見ればわかるような簡単な操作方法でつまずいている人が多い。

これはレッスンを始めた頃には想定していなかった現実でした。

なので初心者向けのDTM、DAWの講座も
早急に作らなきゃな〜と思っている今日この頃ですが
初心者の生徒さんにも副教材的におすすめできるような本とかないかなと思って見つけたのが
藤本健さん著の「これからはじめるDTMerのためのやさしい基礎知識」という本。

音楽制作やってる人ならおなじみの方だけどかなりわかりやすい。

例えばDAWのためのコンピューターの選び方といった初歩の初歩であったり、
楽器全般のMIDIの打ち込みのコツから簡単な楽典だったり、
初心者がおそらく必要とするであろう
音楽制作のための情報が一冊にまとまっているので
俺が教えている生徒さんだけでなく、
そもそも論として音楽制作したいけど
何から始めたらいいのかわからない人にもおすすめできるなと思いました。
本の文章もかなりわかりやすくて読みやすいのがいいです。
作曲や音楽理論関係の本は内容云々よりも
そもそも日本語が難解なものが少なくないですからね(笑)。

もちろんこの本に書いたあることは
情報としては既に既存の本やサンレコのような雑誌に書いてある内容がほとんどです。
ですがそれらの情報を個別に集めるのはそれはそれで骨が折れるし、
音楽制作のための最初の段階に必要な情報が
一冊に網羅されているところにこの本の価値があるのかなと思います。

しかもこの本以降のレベル向けの
おすすめの音楽制作関係の本の紹介もしているのも素晴らしいですね。

これから音楽制作を始めようとしている方や初心者の方はもちろんのこと
ある程度経験はあるんだけどちょっと怪しいところある自覚のある方にもお勧めできる本です。

CUBASEのマニュアルを通学中やトイレ行くときも持ち歩いて
根性で使い方を覚えた俺のような人間からすると
ゆとり仕様すぎではないかと思いますがこのような本がある状況は素直に羨ましいですよ(笑)。

ちなみにkindleでも出てるみたいです。


それと藤本健さんのやっている「藤本健の“DTMステーション”」も
音楽制作の情報を積極的に発信しているので
こちらも同時に見てみるといいかなと思います。
新製品の情報からクリエイターやメーカーへのインタビューなど
初心者以外の人が見ても面白いページです。
http://www.dtmstation.com

コラムにもある「音楽制作向けの情報源」にも追加させてもらおうと思います。

PS
Youtubeのチャンネル登録が1000人を超えた感謝と記念という事で
期間限定でキャンペーンを行っています。
またキャンペーン終了後の2015/4/1よりレッスン料金が値上がりします。
今の料金体系で受講出来るのはこれが最後なので
レッスンに興味のある方はこの機会に入門をご検討ください。
詳細はこちら。
http://kohtaro.com/wp/lesson/campaign/

20:16 | Review | - | -
2014.12.26 Friday

Emika/DVA

Emika
NINJA TUNE
¥ 1,258
(2013-06-08)
コメント:Emika/DVA

正直リアルタイムのアーティストで気になる頻度でだいぶ減ったのだけど
久々にEmikaという女性アーティストがおっと思った。
今月のサンレコの自宅スタジオ特集で紹介されていて
ちょっと気になったので試しにチェックしてみたら想像以上に良くて。

ジャンル的には流行りのダブステップに属するみたいなんだけど
Ninja Tuneから作品をリリースしていて(今は離れたみたいですが)
ブリストルにも在住していたというバックグラウンドは
もう我々世代としては聴かないわけにはいかないよね(笑)。
ちなみに現在はベルリンに在住してそこで音楽活動しているようです。

トラックも自分で作ってるみたいんだけど
クラシック出身というだけあってライティングがちゃんとしているのがいいです。
結構ソフトシンセのデモソングの域を出ない人多い
トラックメーカーやクリエイター特に最近多いからね(笑)。

無駄な音を削ぎ落として殺伐としているサウンドと世界観なので
トリップホップ好きな人には間違いなく気にいると思うし
ちょいとゴシックっぽい雰囲気もあるので
ダークな女性アーティスト聴いてみたい人全般におすすめ。
ヴォーカルのセクシーでいいし。

ちなみに話は変わりますが
最近DAW女(ダウジョ)という人たちが一部でトレンドみたいですね(笑)。
確かに作曲方面は女性率は非常に低いので
ある意味オタサーの姫になるよりもブルーオーシャンなのかもしれません。
最近俺のレッスンもめでたく脱男塾化してきたので興味ある方は是非。
http://kohtaro.com/wp/lesson/

00:35 | Review | - | -
2014.09.10 Wednesday

BABYMETAL

BABYMETAL
トイズファクトリー
¥ 6,400
(2014-02-26)

ついに手を出してしまいました、BABYMETAL。
前々から色々評判は聞いていたのですが
うちの弟からCDを借りたので聴いてみたら
音があまりにもガチすぎてビックリした(笑)。

Xの紅やDahliaやART OF LIFEっぽいのが聴こえてきたと思ったら
(イジメ、ダメ、ゼッタイのライブ観て思わず爆笑してしまいました)
limp bizkitやLinkin Park、Slipknotまでも聴こえてきて
しかもこれがちょっとつまみ食いしてみましたレベルではなくて
バカバカしいくらいまでに徹底しているからスゴい。

これまでもメタル×●●というアーティストはいたとは思うけど
ここまでガチなのはあまりなかったんじゃないかと思う。

確かに歌詞であったり、コンセプトはネタっぽいんだけど
音があまりにも本気過ぎてリスナーに対して全く歩み寄っていないのがいい。

自分が10代の頃は洋楽の音を日本人向けに
わかりやすくローカライズするのが邦楽の常識だった。
あまりにも海外寄りの本格的過ぎる音作りは
一般人には理解されないというのが暗黙の了解としてあったように思う。
そんなのもあって特に10代の頃は邦楽やJ-POPが大嫌いだったんだけど
最近はそんな低いステージからフェイズが繰り上がって
音作りに関しては海外と遜色なくなっている点に関しては
本当に良い時代になったと思います。

ガチのメタルのエキスパートの演奏や音を
アイコンに特化したかわいい女の子達と組み合わせる事で
普段はメタルやヘヴィな音楽とは一切縁のないような人も巻き込んだだけではなく
そのシーンのファンも唸らせたのは素晴らしいですね。

おそらくこれから先はそのような
アイコンとエキスパートを極端な形で組み合わせた
アーティストやプロジェクトがどんどん増えていくように思います。
ボカロやあまちゃんもビジネスモデルとしては同じようなもんだし
ちょいと前に問題になったゴーストライター騒動も
障害をネタに使ってしまったり、
ウソをついてしまったから問題だったわけで
ビジネスモデルとしては非常に合理的だったと思います。

こうなると苦しいのは従来型のバンドマンだよね。
例えばメタル系のバンドで
BABYMETALの演奏陣より上手い人達なんてそう滅多にいないだろうし、
仮に演奏力や音楽的な完成度を超えていたとしても
メタラー以外も巻き込むような
アイコンとしてのカリスマ性やわかりやすさも兼ね備えているなんて
普通に考えてムリゲーすぎるでしょ(笑)。

でもこれはメタルに限った話ではなくて
ありとあらゆるジャンルで言える話だと思っていて
これまでのように良い音楽や新しい音楽を作ったり、
表現する事だけに集中していた純粋型のアーティストは
ジャズやクラシックのように
一部のマニアにだけ熱烈に愛されるコアな方向か
アイコンと組合わさるのかのどちらかしかないのかもなぁと。

それはまだ良い方で
アイコンとしても、エキスパートとしても
中途半端なアーティストは淘汰されていくのはまず間違いなさそうです。

ゴールデンボンバーが演奏を捨ててエアバンドになるのも当然の流れというか
彼らはある意味このような時代が来る事を予見していたのかもしれませんね。

これをチャンスと捉えるか、
絶望と捉えるかはもうその人の価値観なんだろうな〜とは思います。

12:12 | Review | - | -
2014.07.18 Friday

Kristoff Silva/Deriva

Kristoff Silva
Ais
¥ 1,979
(2013-09-03)

またまた久々のブログ更新(笑)。
それでもなぜかアクセスは増えるという面白い現象が。

それは置いておいて今日紹介するのはKristoff Silvaの「Deriva」
おそらく今年聴いた中で今のところ一番傑作で
レッスン生にもおすすめしているくらいです。

ブラジル音楽にはミナス派と呼ばれる一派があり
そこの中でもかなり注目されている新世代のシンガーソングライター。
俺自身ブラジル音楽であったり、ラテンの音楽は
これまでボサノバくらいしか触れてこなかったんだけど
超リスペクトしている濱瀬元彦さんのライブに行った時に
MCの中でKristoff Silvaの名前が出てきたので
チェックしてみたら見事にハマってしまった。

音楽的には伝統的なブラジル、ラテンの音楽をベースに
最先端のエレクトロニクスやテクノロジーが融合した感じ。
おそらく世間のイメージするブラジルやラテンの音楽からは
かなりかけ離れていると思う。
俺自身ブラジルやラテンの音楽というと
どちらかというと陽気で明るいイメージがあったんだけど
その認識を改めさせられたといういうかとにかく超ディープ。
それでもソングライティングや演奏の端々で
「あ、やっぱブラジルっぽい」と感じるところがあったり
歌詞もおそらくポルトガル語だと思うので
英語圏のアーティストにはない世界観が確立している。

ここ最近はソングライティングとテクノロジーが融合した
シンガーソングライターがJames Blakeを筆頭にいるけれども
彼らと比べてもKristoff Silvaは頭が一つも二つも抜きん出ていると思います。

日本では全然知られてないと思いますが
新しい音楽好きの人にはたまらないと思うので是非聴いてみてください。
これをきっかけにミナス派の音源を掘り下げてみようと思っている今日この頃です。

Youtubeでも音源アップされています。
全然再生数伸びてないのが信じられない…

http://www.youtube.com/watch?v=J-4N38NiYu8

20:42 | Review | - | -
2014.02.17 Monday

Maria Schneider

久々のブログ更新(笑)。
ここまで書かなかったのは初かもしれない。
これも全部雪のせいだ。

最近Maria Schneiderという女性のコンポーザー、アレンジャーの音源をよく聴いています。
今時珍しい自分名義のビッグバンドを率いている方でなんとあのGil Evansの弟子です。
しかも美人。

ライブではこの人自らコンダクターとして指揮をしています。
日本ではあまり知られてないですが
実は去年来日してたみたいでそのことを知ったときは超悔しかった〜

俺が一難最初に聴いたのは「Coming About」というアルバムなのですが
そこにコルトレーンの「Giant Steps」が収録されていて。
ジャズミュージシャンの間では難曲ということで有名な曲ですね。
(なんで難曲なのかは自分で調べてみてください。詳しい理由が知りたければレッスン来てください)


それを見事に自分色にアレンジしていて。
Youtubeには音源が残念ながらなかったのでオフィシャルのHPのリンク貼っておきます。
http://www.mariaschneider.com/albuminfo.aspx?ID=3

時間がある人は原曲とどう違うのか聴き比べてみてください。
http://www.youtube.com/watch?v=2kotK9FNEYU

まさに完敗って感じでした。
何と勝負してるんだって話ですがそのくらいビビりました。
どうやったらこんな発想浮かぶんだろうと凹んだのと同時に
アレンジというのはこうでなきゃいけないよねと思わず笑みもこぼれました。
個人的にこのような「負けた」感覚は嫌いではなかったりします。
むしろ音楽にはその感覚を求めてるような気すらします。

世の中には沢山のカヴァーやアレンジがありますが
正直原曲を超えるくらい自分色に染め直しているパターンは滅多にありません。
最近よくありがちなのはメロディもコードも一切タッチせず
ただバックのオケを違うジャンルに置き換えてるだけの「アレンジもどき」や
音色を今風にしただけの「パッケージ変更」ばかり。

でもそんなのぶっちゃけ今のテクノロジーならコンピューターで出来ちゃうんですよね。
実際iReal bでも使えば一瞬で違うジャンルのオケにするのは余裕だし
DAWも今後そんな機能が充実していくのは間違いないと思います。

音楽がインスタントに作れてしまう時代だからこそ
人間にしか出来ないこと、
コンピューターでは代替不可能な発想、アイデアこそが
特にこれからのクリエイターには求められると思っています。

Maria Schneiderもハーモニー感覚とアレンジのストーリー力と発想力、アイデアは
コンピューターでは代替不可能な独自なものがあります。
ちょっとでも理論をかじったことのある方なら少し聴いただけでわかるかと思いますが
「このボイシングどういう発想で作ってるんだろう」
というコードネームでは表しにくいハーモニーを多用しているんですよね。

というわけで最近はこの人のスコアを夜な夜な研究している日々です。

ちなみに最近研究しているのは「Hang Gliding」という
Maria Schneiderを代表する曲です。

ぱっと聴いた感じただの聴きやすい良い曲かと思いきや
実はスゴい面白い構造になっている曲です。
この曲はライブの動画もあったので貼っておきます。
「Hang Gliding」だいたい31分38秒くらいからスタートしますが
他の曲も素晴らしいので是非全部観てみてください。

http://www.youtube.com/watch?v=MZM5ekpurvA

23:13 | Review | - | -
2013.12.12 Thursday

Bill Evans & Jim Hall/Undercurrent

Evans,Hall
Blue Note Records
¥ 676
(2002-06-13)

ギタリストのJim Hallが亡くなった。
もう80を超えた高齢だったけど演奏活動はずっと行っていて
去年も来日公演したし、来年もまた来日の予定だった。
ジャズギターの歴史を作ったと言ってもおおげさでもないレジェンドを
一度でいいから生で観たいと思っていただけに残念だ。

そんな彼の音源ということでBill Evansと一緒にやった
「Undercurrent」を今日はずっと聴いてる。

もう名盤中の名盤。
ピアノとギターのデュオだけどこれ以上何も手を加える必要のないくらい完成されている。
一曲目の「My Funny Valentine」からもう持っていかれてしまう。
両者のキャリア全部含めてもこの作品が一番好きという人は多いと思うしジャズ初心者にもおすすめ。

アートワークも美しい。
1962年の作品なのになぜか4ADっぽい匂いを感じてしまうのは俺だけじゃないはず。
ジャズとか普段聴かないけどジャケでピンときたって人是非聴いてみてください。

PS
Jim Hallのリーダーアルバムなら最初の一枚としては下の「アランフェス協奏曲」もおすすめ。
結構有名な曲なんで知ってる人も多いはず。


PPS
わりと最近の彼の演奏動画。
ぱっと見は普通のおじいちゃんだけど音がもう極上過ぎる。

01:22 | Review | - | -

▲top

Mac