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2016.12.14 Wednesday

2016年に聴いた音源の中で特に印象的だった作品について色々書いてみた(久々の長文)

早いものでもう2016年も終わりそうですね。
というわけでそろそろ総まとめの時期ということで
今年聴いた音源の中で特に印象的だった音源について書いておくことにします。
もちろんここに書いた音源以外にも面白い音源はあったし、
自分の好きなアーティストが多く新作を出した年でもありましたが、
同時に多くの音楽家が亡くなった年でもありました。
ただそれらについて本気で書くと一年くらいかかりそうなので(笑)
個人的に特に印象的だった音源のみに絞ることにします。

が、それでも結構長いと思いますのでお時間がある時にでもどうぞ。

まずはAntonio Loureiroの「So」。

これは今年リリースされた音源ではないのですが
今年入手した音源の中でダントツに衝撃でした。
以前ブログでも紹介したKristoff Silvaと同じくミナス派と呼ばれるアーティストの一人です。
各所で話題になっていた人なんで当然気にはなっていて
ずっと聴こう聴こうとしていたんだけどついつい後回しにしてしまっていた。
ただAmazonでバカみたいなプレミアついていた
1stアルバムが運良く安く手に入ったので聴いてみたら衝撃で。

「天才」

陳腐な言葉だけど久々にその言葉がふさわしいアーティストだと思いました。

で、速攻「So」も注文したんだけどこちらはさらに才能が爆発していた。
一曲目のイントロからぶっ飛びすぎ。
どうやったらこんなの浮かぶんだろうと思うくらい(笑)。

ブラジル音楽やジャズをベースとしつつもあくまでサウンドは現代的。
でも同時にフランスのクラシックの作曲家のようなトラディショナルな和声も感じるから面白い。

前作が様々なヴォーカリストをフィーチャリングに迎えてたのに対して
(Kristoff Silvaも参加している)
今回は本人のヴォーカルと歌よりも演奏の割合が多め。
彼は作詞作曲だけでなく歌も楽器も一通りこなすマルチプレイヤーでもある。
で、この演奏が本人もゲストのミュージシャンも超上手い。
完全に現代におけるニュータイプです。

ブラジル音楽のアントニオと言えば当然第一に浮かぶのは
アントニオ・カルロス・ジョビンなわけですが
彼もそこと同列となるくらいの才能と器を感じます。

あと音も良いね。
俺が入手したのは普通のCDなんだけどとにかく録音の質がいい。
ここ最近の音源は普通のCDのスペックでも
これどうやって音作りしてるんだろうと思うくらい音質が良いものが少なくないのでビックリする。

リリースはずっと前だったのにずっとその存在を放置してたのが本当に悔やまれます。
新しい音楽を欲してる方には全力でおすすめ。

次は安藤裕子の「頂き物」。

安藤裕子はJ-POPの女性ヴォーカリストの中で
ダントツにトップにくるくらい好きで
レッスンでも何曲か参考曲やアナライズの対象にしています。
とにかくコード進行やハーモニーが面白い。
多分アレンジャーの方の手腕によるところが大きいと思うのだけど
実はジャズ理論バリバリのコード進行で
音楽理論勉強している人にとっては超聴きごたえのあるアーティストなんだよね。

色んなところで言っていることだけど
自分自身J-POPは元々この世で一番嫌いなジャンルだった。
でもその見方を変えたアーティストが何人かいてよく名前を出すのがsalyu。
そして安藤裕子も間違いなくその中に入る。

で、その二人が去年対バンしたんだけどあれは神イベントだった(笑)。
しかもアンコールでマイラバの「Hello, Again 〜昔からある場所〜」をデュエットするという。
もうこんなレアな機会は二度とないんだろうなと思ってたけど
以降ちょくちょく共演しているようなのでまた対バンしてほしい。

と、個人的な願望はこのくらいにして。
今作の「頂き物」は外部のアーティストによる楽曲提供された曲中心による作品。
楽曲アーティストは
スキマスイッチ、TK from 凛として時雨、堀込泰行(キリンジ)、
Chara、sébuhiroko、DJみそしるとMCごはん、
大塚愛、小谷美紗子、峯田和伸(銀杏BOYZ)と錚々たる面々。

で、今回も曲もアレンジも演奏も良かったし、
様々なアーティストの楽曲を歌いこなした安藤裕子のヴォーカルも素晴らしい。
でも個人的に一番感動したのはとにかく音が良い。

実は今回はCDではなくハイレゾの方で購入したんだけど超音が良い。
24bit、96kHzというスペックもあるのだろうけれど
日本のJ-POPの音源もついにここまでのレベルまできたのかと感動した。

特にリズム隊のグルーブ感や鮮度が素晴らしい。
うちの環境で聴くと(ムジーク+antelope)本当にヤバイですよ。

これは是非可能であればハイレゾで聴いてもらいたいですね。
普段mp3やYoutubeで聴いている人はマジでビビると思います。

ちなみに今回の楽曲提供のアーティストの中ではsébuhirokoの楽曲がダントツに良かった。
気になって本人のソロの作品も聴いてみたら超良くて。

エコール・ノルマル出身の作曲家という肩書きにもビックリだけどとにかく作曲のセンスがいい。
今の女性アーティストの中でもダントツに才能のある人だと思う。
最近新作も出たようなのこちらも近日チェックしてみようと思います。

次は冨田ラボの「SUPERFINE」。

これは最近買った音源ですね。
言わずと知れた日本を代表するプロデューサーの冨田恵一氏のソロプロジェクトです。

クラウスオガーマンのような(今年亡くなったらしいのが本当に残念)
ジャズハーモニーをベースとしたオーケストレーションは
多分彼がJ-POPにおいて始めたパイオニアだと思うのだけど
演奏家としても一通りの楽器を一流のレベルで演奏するマルチプレイヤーで
さらにドラムの打ち込みもとても打ち込みとは思えないくらいの高いスキルの持ち主。
まさに日本の音楽界におけるパーフェクトヒューマンですね。

一時期彼のようなパーフェクトヒューマンを目指した時期がありましたがもう諦めました(笑)。

なのでこれまでの冨田ラボ名義の作品はほぼ聴いています。
聴いてはいますが正直自分の音楽の趣味として好きだから聴いているというよりは
半分アレンジの勉強として聴いていたというのが正直なところです。

ただ今回の「SUPERFINE」は純粋に作品としても好き。
多分これまでの作品で一番かもしれない。

これまでの冨田ラボはシミュレーショニズムといって
70年代、80年代の洋楽の(特にスティーリー・ ダン近辺)
サウンドを使用楽器からプレイスタイルまで踏まえて
取り入れることをを基本コンセプトとしていたようにも思うんだけど
色んなインタビューで語っているようにそれがひと段落したようで
ここ最近の現代ジャズやブラックミュージックに影響を受けたサウンドになっているのが特徴的。

例えばヒップホップや打ち込みを通過した後のジャズドラムであったり、
これまでは避けていたであろうここ最近のトラックメイカーっぽい打ち込みのサウンドであったり、
3連符、5連符といった奇数単位のリズムや
最近のジュークのような細かいビートも取り入れられてかなり複雑化しているのと、
ここ最近のブラックミュージックのサウンドの質感であったり、
これまでと違って現在進行形の音楽の要素がかなり反映されていて。

さらに今回はフィーチャリングされている
ヴォーカリストが20代〜30代前半の若手が中心なのもあって
新しい音楽、というのが第一印象。
でも絶対に若造には成し遂げられない
圧倒的な完成度なのはさすがとしか言いようがない。

もう冨田さんは年齢的に50半ばに差し掛かっていたように思うんだけど
まだまだこんなに進化できるんだと思うと
これから先、音楽をやって行くのにちょっと勇気付けられました(笑)。

ちなみに「SUPERFINE」の初回盤ではCDの他にドキュメンタリーのDVDや
レコーディングについての冊子もついているのがポイント。

やはり冨田さんといえばミュージシャンズミュージシャンということで
どのように制作されたのか、気になる人自分も含めて多いと思う。
そんな人にはまさにうってつけです。

本人による楽曲の解説の他(割と機材の話もあり)、
なんと譜面もいくつかあるので音楽やってる人は絶対に手に入れたほうがいいです。

というのも以前ベストをリリースした時に同じような企画があったんだけど
うっかりそれの初回盤買いそびれてしまったんですね。
でもこれのドキュメンタリーが超面白そうで。
一部Youtubeで公開されてるけどここまで観たらもう全部観たくなる。

が、その音源が今ではプレミアついていて買うに買えないのが悲しい。
なので誰かクリスマスプレゼントに買ってください(笑)。

ただ今回こそは同じ二の轍を踏む訳にはいかないので速攻買いました。
なので通常盤よりは若干割高ですが音楽の教材と思えば激安です。

ちなみに今回フィーチャリングされているヴォーカリストの中では
CICADAのヴォーカルの人が特に良かったです。
声が好み。

ちなみにCICADAも気になってリサーチしてみたらよかったです。
Acoとか好きな人には間違いなくツボ。

という話をレッスンである生徒さんと話したら
昔対バンしたことしたことありますよって。世間は狭いね〜

そして最後はDavid Bowieの「Blackstar」。

2016年はご存知の通り多くの音楽家が亡くなりました。
それについて語るともう語りきれないので割愛しますが
その中でもBowieの死というのは衝撃的な事件でした。

なので遺作でもある「Blackstar」もちょっと聴くまで覚悟がいったので
実際に聴いたのはリリースされてから数ヶ月後。

が、意を決して聴いてみたらもうヤバくて。
実は「Blackstar」を聴くまで2016年聴いた中では
多分冒頭に書いたAntonio Loureiroの「So」だろうなと思っていました。
でも「Blackstar」を聴いた時に同じくらい、
下手したらもっと上かもしれないと思いました。

今作は現代ジャズの要素を大々的に取り入れていて
(冨田ラボといい同じキーワードが出てくるのが面白い)
個人的にもビックリしたんだけどMaria Schneiderもアレンジで参加している。
Maria Schneiderに関しては以前ブログにも書いたけど
女性の作曲家の中で一番ってくらい好きで
レッスンでもアドバンスな段階になると彼女の楽曲を取り上げています。
日本ではあまり知られていないけれど現代のジャズにおける重要人物だと思います。
ジャズというのはもう終わった音楽では決してなくて現在進行形の音楽なんだよね。
Bowieはご存知のようにその時「なう」なサウンドであったり、
ミュージシャンを起用することで有名だけれど
彼のアンテナに引っかかったのも納得というかさすがというか。

で、そのMaria Schneiderがアレンジで参加している
「Sue (Or in a Season of Crime)」は超やばい。

Maria Schneider名義の作品でも
「Coming About」あたりではアグレッシブな楽曲やっているけれど
彼女のアレンジでこのビート感やロックっぽさは新鮮で驚いた。
しかもそこにBowieのヴォーカルが絡むという。
もうカッコよくないわけがない。

しかもこの曲だけではなくて全曲素晴らしい。
曲数が少ないのもあるけどアルバムを一度聴き始めると一曲も飛ばさずに聴いてしまう魔力がある。
捨て曲が一曲もない。

今回はこちらもハイレゾで聴いてみたんだけど音も演奏も本当に素晴らしい。
さっきは普通のCDのスペックでも音が良いものがあるみたいな話したけど
「Blackstar」に関しては絶対ハイレゾで聴いた方がいいと思う。

多分異論はあるかもしれないけれど
彼のキャリアの中でも最高傑作といっても良いくらい完成度が高いのではないかな。
もう新作が聴けないのは残念だけど
こんな傑作を最後の最後に残した彼は本物のアーティストだと思う。

という感じでしょうか。
ここまで書いてみたけど案の定長くなりました(笑)。

2016年は音楽の世界では悲しいニュースも多かったけれど
いい音源との出会いも多くあったのは個人的には救いです。

また来年もいい音源と出会えるの期待してます。

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